地方公務員が病んで転落しつつある話

偶の理性と心の反吐を書き散らす

人生やり直し機

 ドラえもんの道具という(空想)科学的なアプローチもだろうが、もっと超常的な何かだろうが、そんな選択を提示できるなら、人生辞めさせてほしい。

 

人生をやり直す

 

 今の記憶を持ったままで、過去のある地点へ戻ることができたなら、失敗を成功に変え、何もなかったところに大成功を生み出すことさえできる。とまあ、こんな風に空想して今の惨めな自分を慰めるわけだが、これは存外前向きな考えだ。

 

 子供時代、たとえば中学生に戻ったとして、なるほど前回よりも勉強をしたり、将来に向けて仕込みをしたり(株や希少品)、交友関係を見直したりできるだろう。しかし、特殊な道を選ばない限り高校受験をもう1度受けなければならない。

 そして、次に待っているのは大学受験であり、就職試験である。その間に、数年、場合によっては1年で大きく変わる人間関係を無難にこなす必要もある。また、過去をなぞっているのだから環境が改善されていることはありえない。

 それに、以前とは違う高校、大学に進学したり、学業とは別の道を歩むとしたら、最早やり直しの下駄はない。

 

 そんな努力や苦労をもう1度やるなんて、とても無理だ。と、思わないだろうか?

 

 「人生をやり直してもいいけど、どうする?」と聞かれたら「そんなことができるなら、今すぐ人生終わらせてください」と懇願する。人生はもう1度やりたいものではなく、もう2度とやりたくないものだ。

 

 芥川龍之介の「河童」では、生まれる前に「生まれたいかどうか」を当の子供に尋ねる。そして、子供は自分の置かれた環境は把握できているらしく「生まれたくない」と答える。今風に言えば「親ガチャに外れてるからやめておく」といったところだろうか。

 

 人生をやり直す気概のある人は、今からでもやるが良かろう。「河童」は芥川の最晩年の作品である。